体性幹細胞再生医薬品とは
体性幹細胞再生医薬品は、生体のさまざまな組織にある幹細胞である「体性幹細胞」を利用して、現在有効な治療法がない疾患等に対して新たな治療法を開発することを目的とする製品です。体性幹細胞には、神経幹細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞など複数の種類があり、生体のさまざまな組織に存在します。限定された種類の細胞にのみ分化(細胞が特定の機能を持った細胞に成熟することを)するものや、複数の種類の細胞に分化するものもありますが、多能性を有するiPS細胞等との比較においては、分化する細胞の種類は一般に限られています。
当社は、2016年に米国のバイオテクノロジーベンチャーであるAthersys, Inc.(以下、アサシス社)とライセンス契約を締結し、体性幹細胞再生医薬品の開発を開始しました。
アサシス社の創製した幹細胞製品MultiStem®(HLCM051)は、ヒト骨髄由来の細胞製剤です。同社が特許権・特許実施許諾権を保有し、既に複数の治験が進められ、一定の安全性が認められています。
HLCM051は、凍結保存により長期保管が可能、免疫抑制剤が不要、静脈注射(点滴)で投与された細胞は体内へ蓄積することなく消失、といった特徴を有しています。
iPSC再生医薬品は、体内の臓器を新たに作成した細胞と置換するという移植に近い治療法ですが、HLCM051を用いた体性幹細胞再生医薬品は従来の医薬品と似た治療法となります。
なお当社は、2024年4月にアサシス社の実質的全資産を取得しており、MultiStem®(HLCM051)につきましてもその権利を自社で保有しています。